日本の人口 vol.2

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vol.2  少子高齢化
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vol.4  人口統計
vol.5  人口ピラミッド 
vol.6  人口ピラミッド・人口関連リンク集
vol.7 
vol.8 
vol.9 人口の本
vol.10 

















                last updated:Thursday, June 02, 2011
 

 2 少子高齢化

 少子高齢化とは,その国で生まれる子どもの数が減るのと同時に平均寿命が延び,人口全体に占める高齢者の割合が高まることをいいます。先進国に共通して見られる現象です。総務省発表の2005年国勢調査の「1%抽出速報」によると,05年10月1日時点の15歳未満の人口は1740万人で,前回調査(00年)と比べ5.8%減少。一方65歳以上の人口は2682万人で同21.9%増加です。

 総人口(1億2776万人)に占める15歳未満の構成比率は13.6%,15~64歳は65.3.%,65歳以上は51.0%。前回調査では,それぞれの構成比率が14.6%,67.9%,17.3%であったことから,少子・高齢化の進行が止まらないことを証明するデータでもあります。

 日本の現在の出生率は1.3ほどであり,先進諸国のなかでも最低の数字です。日本の出生率が上昇しない限り,日本の人口は徐々に減少するばかりか,急激な高齢化も免れません。現在の日本は,就業人口100人で30人の老人を養っている計算になりますが,これは先進国の中で最も大きな数字です。

 少子高齢化の進展は,消費の縮小,年金や保険など社会保障の負担増,貯蓄の低下などにつながり,日本経済の減速要因とも指摘されています。企業にとっても優秀な人材の確保が難しくなる懸念と,危機感は高まっています。


    出典:総務省



2-1 少子化-- 

  「少子」という言葉は本来,年若い子,末っ子といういった歳が「若い」という意味。『広辞苑』も第4版まではその意味しか載せていませんでした。1992年度の国民生活白書で,出生率の低下により子どもの数が減少という意味で「少子化」という言葉が使われ,以後,「若い」ではなく「数が少ない」という意味で使われるようになりました。
  1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が少子化の目安となります。日本では1975年に2・0を割り込んだまま減少傾向が続き,2005年は過去最低を5年連続で更新,1・25になりました。
 少子化の進行は,人口構造の変化に伴う経済成長の鈍化や,現役世代の税・社会保障負担の増加,高齢化と労働力不足による国や自治体,企業の活力の衰えなど,社会・経済面で,新たな歪(ひずみ)を招くことが懸念されます。

  厚生労働省は2006年9月,少子化対策の一環として,将来の合計特殊出生率を現在の1.25から1.40程度まで高める目標値を設定する方針を固めました。出生率が目標値の1.40程度に回復すれば,現在の年金制度が想定する給付と負担の水準が維持できるとし,年金制度の信頼性の確保につなげる狙いもあります。

04(平成16)年の出生数と合計特殊出生率(厚生労働省)

 2004(平成16)年の出生数は,約111万1千人と,前年(03(平成15)年)よりも1万3千人減少し,過去最低を記録したとあります。
 04年の合計特殊出生率(1人の女性が15歳から49歳までに平均して何人の子どもを生むかを示す平均数の推計値)は1.289,過去最低であった03年の1.291を下回りました。05年には,さらに1.25に下がった。5年連続で過去最低を更新しました。この数値は,過去最低の水準というばかりではなく,欧米諸国と比較をしても低い数値であり,日本社会の少子化傾向をさらに示すものです。
  04年,合計特殊出生率の都道府県別順位では, [1]沖縄(1.72),[2]宮崎(1.52),[3]福島(1.51),[4]鳥取(1.50), [5]佐賀(1.49),[6]島根(1.48),[7]山形・熊本・鹿児島(1.47)となっています。

① 2005(平成17)年合計特殊出生率(厚生労働省-人口動態統計)

 厚生労働省の人口動態統計によると,1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値である合計特殊出生率は,5年連続で過去最低を更新し,前年の1.29から1.25と下落し,人口減少は止まらない様相です。
 2005年に生まれた子供の数は,106万2604人で,前年の111万721人より4万8117人減少です。出生数から死亡数を引いた「自然増加数」はマイナス2万1408人という数字から,人口減少社会に突入したことが明白です。
 出生数が死亡数を上回った県は,埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県,静岡県,愛知県,滋賀県,大阪府,兵庫県,福岡県,沖縄県の11都府県となりました。なお,15大都市別では,出生数が死亡数を下回ったのは東京都の区部,静岡市,京都市,大阪市,北九州市の5市区です。

      関連サイト:平成17年 人口動態統計月報年計(概数)の概況


②人口動態統計06(平成18)年合計特殊出生率1.32 

 厚生労働省は2006年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産むと推定される子供の数)が1.32と6年ぶりの上昇となったと発表した。

 2005年12月政府発表の2005年版「少子化社会白書」によると,1人の女性が生涯に産む子供の人数を表す合計特殊出生率が04年に1.29と過去最低を記録したとあります。そして,こうした状況からして,総人口の減少は,06年にも始まるとの見通しを示しています。
 そして,赤ちゃんの51%が30代の母親から生まれている晩婚・晩産化の傾向を踏まえ「社会全体で若い子育て世帯を支援することにより,少子化の流れを変えなければならない」と子育て支援策の拡充を説き,地方自治体や企業の役割が重要だとしています。
 これに関連して,白書では,国や家庭を含めた社会全体が子育てにかける費用に関して,02年度では子ども1人あたり173万円で,全体で38兆5000億円。このうち国や地方自治体の公費負担額は20兆円で,GDP比は約4%だったと推計しています。

③人口動態統計07(平成19)年合計特殊出生率1.34 

 厚生労働省の人口動態統計(概数)によると,1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値である合計特殊出生率が2年連続上昇し,平成19年は前年比0・02増の1・34となった。30歳代以上の出生率が上がったことなどが要因だが,出生数は2年ぶりに減少に転じた。厚労省は「今後の出生率の動向は不明だが,女性の数が増えないことを考えると,長期的に人口減少傾向が続く」とみている。
 昨年1年間に生まれた子供の出生数は108万9745人で,6年ぶりに増加した前年より2929人減った。母親の世代別では,前年増加していた20~24歳,30~34歳が再び減少したが,35歳以上は増加した。
 出生数から死亡数を引いた「自然増加数」は1万8535人減で,増加に転じた前年から再び減少となった。都道府県別の出生率では,東京(1・05)が最も低く,沖縄(1・75)が最も高かった。一方,死亡数は前年比2万3830人増の110万8280人で,7年連続増加。110万人台となったのは昭和22年以来で,75歳以上の高齢者が約6割を占めた。自殺者は3万777人で,4年ぶりに3万人を下回った前年から再び3万人台となった。
 婚姻数は71万9801組(前年比1万1170組減)で2年ぶりに減少。平均初婚年齢は男性30・1歳(前年比0・1増),女性28・3歳(同)だった。離婚数は前年比2653組減の25万4822組で,5年連続で減少しいる。

④08年の人口5万人減-過去最大幅,高齢化背景に-出生数は微増

 厚生労働省の09年01日付けの08年の人口動態統計値によると,出生数は前年比2000人増の109万2000人と2年ぶりに増加。一方,死亡数は同3万5000人増の114万3000人と8年連続で増加し戦後最多を更新。この結果,死亡数が出生数を5万1000人上回り,05年,07年に続く戦後3度目の「自然減」の年になる見通し。
 同省は「高齢化が急激に進んでおり,人口減少幅は今後も拡大する」と予想しており,日本は本格的な人口減少局面に入ったとみられる。
 
 出生数の微増について,同省は「08年が1日多いうるう年でなければ,出生数は横ばいか減少となるはず」としている。一方,出産適齢期の女性数は減少。女性1人が生涯産む子供数に近い推計値である合計特殊出生率は,07年の1.34から0.02ポイント程度上昇しそうである。 

⑤2008(平成20)年 出生数は横ばい 不況で急降下の可能性も 

  平成20年の合計特殊出生率は,1982(昭和57)~1989(昭和59)年以来の3年連続上昇となったが,楽観はできない。出産期(15~49歳)の女性が今後減り続ける見通しの上,晩婚・晩産化も進行しており,出生率が少し上向いても出生数増に結び付かない状況にある。さらに世界的な不況の影響から“出産控え”が起きるとも予想され,2009(平成21)年以降の出生率は急降下する可能性もあり,少子化問題は正念場にある。

 懸念は出産期の女性の12年連続の減少で,この傾向は続くことが予想されている。また晩婚・晩産化の進行の影響も大きい。2008年の平均初婚年齢をみると,男性が前年比0.1歳増の30.2歳,女性が同0.2歳増の28.5歳と,いずれも前年に比べ晩婚化が進行した。

 明るい面としては,第3子以上の出生数は前年に比べ4885人増の17万1280人となった。今後も3人以上子供を産む女性が増えれば,出生数増につながる可能性もある。

 景気悪化に伴う雇用情勢の悪化で,出産を控える女性が増えるとみられているが,出産の先送りにも限度があり,「ただちに少子化対策を強化しないと,出生数の急減は避けられない」との見方も出ている。

⑥2010(平成21)年 出生率2年ぶり上昇

 厚生労働省が1日発表した人口動態統計によると,2010年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の人数)は1.39だった。09年の出生率は1.37で,上昇は2年ぶり。30代後半の出産が押し上げに寄与した。一方で出生数から死亡数を引いた自然増減数はマイナス12万6千人となり,4年連続で人口は減少した。厚労省は今後も人口減が続くとみており少子化対策が急がれる。
 出生数は107万1306人で,09年より1271人増えた。出産した年齢別にみると,35歳未満の出産は減ったが,団塊ジュニア(1971~74年生まれ)世代を中心に30代後半の増加が目立った。09年は前年比でマイナスだった第2子,第3子以上が10年はプラスに転じ,子どもを2人以上持つ人が増えた。
 人口を維持できる出生率は夫婦2人分より若干多い2.07とされ,現在の出生水準では長期にわたって人口が減ることが予想される。



*総務省発表の2010年国勢調査の人口速報集計によると,2010年10月1日現在の日本の人口は,前回05年より28万8000人多い1億2805万6000人で,増加率は0.2%(年平均0.05%)で,調査開始以来最低だった。


2-2 08年子どもの数-1738万人

 総務省発表の2008年4月1日現在の子供の数(15歳未満の推計人口)は,過去最低だった07年より13万人減って1725万人と27年連続で減少した。

 総務省推計によると,4月1日現在の日本の15歳未満の子どもの数は,男子が884万人,女子が841万人のあわせて1725万人でした。これは過去最低だった去年より13万人減って85年以降27年連続の減少。また,総人口に占める子どもの割合も75年から34年連続して低下しています。年齢別には,中学生(12歳から14歳)が359万人,小学生高学年(9歳から11歳)が358万人,小学生低学年(6歳から8歳)が351万人,3歳から5歳が332万人,0歳から2歳が324万人と年齢が低くなるほど少なくなっている。
 都道府県別(07年10月1日現在)では,最高が沖縄県で18.1%,最低は東京都の11.7%だった。

出生数、今後は減少 出産期人口、ピーク越す 仕事と育児の両立支援が不足


 出産年齢の女性人口は縮小

             出典)国立社会保障・人口問題研究所推計

2010年の出生数の上昇は1971~74年に生まれた団塊ジュニア世代など30代後半の世代がけん引した。今後、出産適齢期の女性の数は年ごとに減っていくため、出生数の伸びも鈍るとみられている。少子化対策が急務になっている。(1面参照)

 10年の出生数は前年に比べ1271人増の107万人となり、2年ぶりに増加に転じた。35歳以上の母から生まれた子どもの数が25万5505人と、前年比1万4千人強増えた。一方、34歳以下の母から生まれた子どもは1万3千人減の81万5796人だった。

 出産年齢でみると、95%は20~39歳で子どもを産んでいる。この世代の人口が減れば、出生数の減少につながりやすい。20~39歳の女性の数は総人口ベースで00年に1730万人だったが、10年には1583万人に減少。20年には1299万人へ縮小する見通しだ。

 民主党政権は10年から子ども手当の支給を始めたが、子どもを持つ親からはむしろ保育所の増設など仕事と育児の両立を支援するサービスを求める声が強い。ただ、政府が検討中の「子ども・子育て新システム」は幼保の一体化に重点が移り、保育サービスの拡大などには踏み込み不足との指摘がある。

 結婚の数は前年に比べ7521組減少し、70万213組に縮小、23年ぶりの低水準となった。背景には、派遣社員やフリーターの増加など経済的な理由もあるとみられている。総務省によれば、30歳代で正社員の男性の約6割は結婚しているが、非正規社員の場合、3割弱にとどまるという。


2-3 少子化の要因

 厚生労働省発表の2004年の人口動態統計によると,1人の女性が生涯に産む子供の数を表す指標である合計特殊出生率は,1.289です。
 少子化の原因としては,これまで,仕事と育児の両立が難しいなどの理由で結婚を遅らせたり,結婚そのものをあきらめたりする「晩婚化」「未婚化」,結婚しても子育て費用などを理由に子供をつくらない――などが挙げられてきました。その背景には,社会情勢の変化,特に職業がパート・アルバイトといった,いわゆるフリーターの増加といった,経済的な問題があげられます。
 すなわち,結婚後の家計を支えるのは主に男性であることから,女性もまた結婚相手の条件に「収入の安定」を望んでおり,パート・アルバイトの男性との結婚をためらう傾向があるものと考えられます。

  

関連サイト:http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h15/honbun/html/15321030.html
        :少子化情報ホームページ(国立社会保障・人口問題研究所) 
   関連サイト: 香川県 少子高齢化の生活像に関する調査
             島根県少子化対策webサイト


 江戸時代の社会現象に,いまに通じる事実と,現代へのヒントがみられる。当時,離婚や再婚が頻繁に行われていたという。何よりも文明が発達する過程で人口が増加し,成熟するにしたがって晩婚化・少子化が進んだという現代にも通じる変化に注目したい。
           出典:『文明としての江戸システム』鬼頭 宏著 講談社刊 

2-3 少子化に対する提言 

① 05(平成17)年版国民生活白書

 「子育て世代の意識と生活」と題した05(平成17)年版国民生活白書は,少子化現象を家計面から分析し,少子化の背景に「子育てに対する経済的不安がある」と指摘しています。特に,経済基盤の弱いパートやアルバイトの「フリーター世帯」の増加が,少子化を進めると懸念しています。
 白書では,夫婦の考える「理想の子供の数」が過去23年間,「2.5人程度」と不変であるのに,出生率が高まらない理由としては,35歳未満の既婚者の8割弱が「子育てや教育にお金がかかりすぎる」と考えていることをあげています。つまり,望み通りの数だけ子どもが産める環境が整えば,出生率の回復が見込めるというわけです。
 こうした点を踏まえ,白書では「子育てには最低限の収入が必要」と指摘。妻が40歳代の世帯を収入別に比較し,400万円以上の世帯ではどの収入帯も,「子供なし」は10%前後だったが,400万円未満の世帯では,約20%に及んだとしています。
 こうした前提のもとで,夫婦とも「フリーター」という世帯が増え,04年は妻が25-34歳の若年層の共働き世帯の4.4%に達したことが,「出生率低下の一因となっていると考えられる」としています。
 「子育てしたい」と思える社会環境の実現に向け,短時間勤務が可能な正社員制度による,パートやアルバイトに正社員登用の機会を増やす,職業訓練の充実,小中学生に「働く意義」を学ばせる必要があるとも提言しています。

  平成16年度版 「少子化社会白書」

働き方の改革が必要  2007年版少子化白書--

 07年版「少子化社会白書」では,06年は出生数,合計特殊出生率ともに6年ぶりに増加したが,今年8月現在の出生数は前年同期比で3076人減で「決して楽観できない」と強調。仕事と生活の調和の実現に向け,長時間労働の是正など働き方の改革が必要だと訴えている。

 白書では,未婚者の9割は「いずれ結婚したい」と考え,男女とも平均2人以上の子どもを望んでいる。しかし「仕事(学業)に打ちこみたい」「結婚資金が足りない」などの理由で,結婚や出生行動に対する希望と実態に乖離(かいり)があると指摘。こうした希望が一定程度満たされれば,40年には合計特殊出生率が1.75(06年は1.32)になると試算した。

 また,新人口推計に基づき,55年には日本の総人口が9000万人を下回り,約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となるとし,年金や高齢者医療費,介護費が増大する中で「高齢者に対する給付内容の見直し,給付と負担の均衡措置の必要性を指摘している。

 人口減少の影響として「過疎地では防犯,消防などの自主的な住民活動や集落の維持さえ困難になり,地域の存立基盤にもかかわる問題が生じる可能性がある」と警告を発している。
 白書は,この30年間で全都道府県で合計特殊出生率が低下していることから「少子化の進行は地域差を持ちながら全国的に進行している」と分析。国民の希望通りの結婚や出産が実現できれば少子化の流れを変えられるとし,女性が仕事と家庭を両立できるような働き方の改革を提唱している。

2-4 事例-企業の少子化対策への取り組み


 いかに女性が働きやすい職場環境にするか。少子化に歯止めをかけるために企業に求められた大きなテーマです。また,「経験を積んだ女性が結婚や育児で退職することが大きな損失」との認識から,多くの企業が,育児休暇の期間,育児手当の増額,子育て支援を中心とした社内制度を拡充など,少子化対策に取り組んでいます。

 丸紅は06年6月,「ワーク・ライフバランスの推進について」と題し,社員の育児や介養支援に関する新たな施策を発表しました。「配偶者転勤休業制度」では,配偶者の海外転勤を理由とした退職を避けるため,3年を限度に休職を認めました。このほか同社では,配偶者の出産立ち会いや育児,家族の介護を目的とした特別休暇などを設けました。
 
 資生堂は,化粧品の選び方などを店頭で助言する美容職の社員が子育てのため早めに帰宅する代替要員として,夕方限定で働く契約社員約500人を採用し,育児支援のための「カンガルースタッフ」と名づけ,06年10月から店頭に出るということです。
  グループ企業の社員のうち女性が7割を占める同社は,本社近くの汐留に保育施設をつくったり,病気・けがをした子どもの看護休暇制度を設けたりして,社員の子育て支援に力を入れています。

 飲料大手の伊藤園は,従来,第2子までに限定していた支給対象を第3子以降に拡大。子供が3人いる場合,従来計4千円だった手当は計4万5千円とし,育児手当制度を大幅に拡充してました。

 シャープは,期間の短い『産休』にとどまらず,一定期間育児に専念したいという要望に対応した」て,育児で退職した後,子供が小学生になるまで再雇用を保証する制度を導入しました。「
 松下電器産業や東芝,シャープなどの家電メーカー各社は不妊治療のための休業・休暇制度を導入しています。
       シャープ:公平で働きがいのある職場づくり

 損害保険の東京海上日動火災保険は, 「社員が一時的に育児のウエートを増やしても,結果として貴重な戦力を失うことなく会社に貢献してくれる」として,1日最大3時間の勤務時間短縮を小学校3年の年度末までと,短時間勤務の期間を延長しました。

 損害保険の日本興亜損害保険は,06年に同社を退職したOB/OGを対象に,SNSサイト「日本興亜サポーターズ倶楽部」を開設しました。その位置づけは,“卒業生のための同窓会”といったところであり,お勧めの飲食店情報や子育ての悩み相談等々を掲載しています。
 このサイト開設の目的は,少子高齢化社会にあって,在籍中の社員だけでなく,退職した社員にまで支援の手を広げたことで,女性社員の間に『この会社で長く働きたい』という意識が確実にはぐくむことにあるということです。
       関連サイト:日本興亜損害保険


少子高齢化社会における中小企業の役割

 06年版「中小企業白書」では,少子高齢社会における中小企業の役割を本格的に分析していいます。中小企業は,大企業と較べて育児制度は整備されていないものの,実際は現場で勤務時間などを柔軟に調整して仕事と育児の両立を図っている事例が多くみられ,女性管理職の比率も大企業よりも高いと,実質的な取り組の現状を評価しています。 

 一方,高度成長期に大量に創業した経営者が一斉に引退の時期を迎えることから,事業の継承,後継者問題の深刻化を指摘しています。05年度実施の民間調査会社のアンケートでは,55歳以上の中小企業経営者の約49%が「後継者が未定」とあるとし,このままでは後継者難から年間7万社が廃業,20万~35万人の雇用が失われる可能性があるとも予測されるとし,警報を発しています。
 この対策として,従業員10人程度のオーナー企業でも事業売却に成功し事業を継続できた具体例を示し,中小企業を対象としたM&A(企業の合併・買収)市場の整備・充実の必要性と重要性を説いています。


団塊世代を迎えての地域活性化--県レベルの施策
 団塊世代を迎えて地域の活性化を図ろうと,手厚い支援策を提示しての勧誘を進めているのが地方自治体です。こうした好条件を利用して,田舎で第二の人生を送るのも一つの手です。
 島根県では,団塊世代の定着促進策とし,06年から関連事業費を予算化し,定年を迎える団塊世代を対象とし,職業紹介,住宅相談,農業研修を三本柱とし,Uターンなどを促す総合対策事業に取り組むということです。なにも,こうした取り組みは,島根県だけではなく,岩手県,新潟県など大半の県がこの種のなにがしかのプロジェクトに取り組んでいると思われます。


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