「日本語」には,実にいろいろな言葉の違いが見られます。言葉使いにも土地柄,地域差がみられます。方言は,長い暮らしの歴史の中で各地域独特の言い方として伝承されてきており、興味深いものがあります。例えば「馬鹿」という言葉。東京はバカと言うが,大阪はアホが一般的である。この境界線はどこなのか,を研究した本が,松本修著『全国アホ・バカ分布考』(新潮文庫 820円)です。この本によると,新潟・長野・静岡以東,すなわち日本アルプスより東側の日本は基本的にバカを使う。中部地方ではタワケが使われている。近畿中心部ではアホ。その周辺ではアホウ。中国・四国ではアホウが使われています。広島・愛媛以西ではバカが強くなっているようです。
また,「タワケ」「ダラ」「ウトイ」など方言周圏を形成しているということです。
都道府県別・県民性&地域性 index
■方言
方言とは,学問上では「ある地域で話されていることばの,発音,アクセント,語嚢(ごい),文法などすべてを含めた全体像」と定義されます。平たく言えば,「共通語やよその地域のことばにはない,その地域独特の言い方」にあります。
地域によることばの違いである方言は,この半世紀で大きく変わりました。最大の変化は標準語とも呼ばれる共通語の浸透です。全国各地で伝統的な方言が衰退しています。ことばからは方言的な特徴が薄らいでいます。
「県民性」は,人の生まれ育った環境から,性格の共通性を分析するものです。県民性の他に人の性格を類型化するものに「血液型性格分析」がある。「血液型とは,性格や体質が作られる上での先天的な要因である。生まれつき体に備わっている要因は,何らかの形で性格にも関わっていると考える方が自然である」とするのが,血液型の妥当性を語る論拠でもあります。
だが,「血液型性格分析」は,科学的手続きによって正しいと検証されていない俗説です。他人を評価する手段として安易に用いるべきではありません。特に,人の性格,癖といった行動の差異を血液型に結び付けての解釈は,こじつけであります。
事実,2004年12月,視聴者からの苦情を受けた放送倫理・番組向上機構の「放送と青少年に関する委員会」は,放送局各社に対し「血液型で人を分析,価値づけするような考え方は,社会的差別に通じる危険がある」との要望を出しています。
「それならばその論拠を科学的に証明しろ」との声も聞かれます。だが,人間の性格は,遺伝と環境という二つの要因が複雑に相互作用して形成されています。血液型が性格に何らかの影響を与えているとするならば,『毛髪の濃さと性格』,あるいは『足の大きさと性格』といったことも,なんらかの関係があるかもしれません。だが,物事は『ない』ことを論理的に証明することは無理で,『血液型と性格の間に関係がない』とは証明できません。だからといって,『血液型で人間関係や相性を判断できる』と結論付けるのは早計です。
(ちなみに日本国内の血液型別割合は,多い順にA型28.1%,O型30.7%,B型21.8%,AB型9.1%だという。)