マーケティング(marketing)の視点で“鹿児島の持続的発展”を
論ずるにあたり,その前提となる「マーケティングとは何か」を概括しておきます。マーケティング分野の第一人者と評価されるフィリップ・コトラーは,「マーケティングとは,価値を創造し,提供し,他の人々と交換することを通じて,個人や組織が必要(ニーズ)とし欲求(ウォンツ)を満たすことを意図する社会的,経営的活動である」としています。日本で信奉者の多いピーター・ドラッカーは,「マーケティングの目的は販売を不要にすることだ」とも論じています。
『岩波 現代経済学事典』(伊東光晴編 岩波書店)では,「マーケティング:企業が行う市場需要の創造・開拓・拡大を目的とした活動のことであり,より具体的には顧客ニーズを充足させるための仕組みづくりと,その仕組みに基づいて行う市場活動・市場実践をいう。」と明解に本質を説いています。加えて,「マーケティングでは,【顧客の集まり】をもって市場ととらえる。しかも,それは売り手が新たに考える【顧客の集合】でありさえすればよい。そこでマーケティングではつねに潜在ニーズの顕在化が問題となり,それがひいては潜在市場の開拓という市場創造活動をともなうことになる。」と,定義しています。この解釈は,論理的,現実的で実務性に富みます。
こうした理論を実務的にかみ砕くと,“マーケティングとは生産者,流通業者といった売り手から買い手である消費者に向けての,時代対応の「売れるしくみづくりとその実行」に関する一連の企業活動”といえます。時代対応とは,的確な時代認識,風向きを読むことにあります。すなわち,流行や顧客ニーズの変化の方向を見極め,売り手や作り手は,それに敏感に対応していくことにつきるのです。
エリアマーケティングとは,1970年代に生まれた和製英語です。その概念は全国同一の画一的な営業活動ではなく,「郷に入れば郷に従え」とし,それぞれの土地柄や地域格差といった地域の特性を見極め,細分化した地域単位での「売れて儲かるしくみ」を作り上げていくことにあります。これはまた地域特性から生ずる地域特有のニーズに基づく,営業戦略の取り組みにほかなりません。
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