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   東京電力福島第1,第2原子力発電所の状況と経緯   (編集中)

  
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 福島第1原発事故の経緯

 東日本大震災 での東京電力福島第1原発(福島県大熊町,双葉町)1号機の炉心溶融,そして爆発事故で放射性物質を周辺に拡散させた。強い衝撃にも耐え,最高基準の耐震 安全性を誇る非常用発電機の故障。「止める」「冷やす」「閉じ込める」という原子力施設の安全三原則は崩れた。炉心溶融は,炉心の水位が低下,燃料が露出 し,冷却されない燃料の一部が1200度以上に達して,燃料の被覆管が溶けたことによるという。
 この事態を,規制当局である経済産業省原子力安全・保安院(Nuclear and Industrial Safety Agency)は,爆発から数時間後にも状況を満足に説明できなかった。

 マグニチュード(M)9.0という巨大地震だったとはいえ,事態が悪化した後も安全回復の決め手が見つからないまま放射性物質は拡散し,双葉町などの住民計約8万人の避難に至った。

 枝野幸男官房長官は1号機の爆発について,2011年3月12日夜の記者会見で「炉心の水が足りなくなったことにより発生した水蒸気が格納容器の外側,建屋との 間に出て水素となり酸素と合わさり爆発した」とし,「建屋の壁の崩壊で,格納容器が爆発したものではなく,外部の放射性物質は爆発前より爆発後の方がむしろ少ない」,さらに「(核燃料を封じ込める)原子炉格納容器の損傷は認められない」とし,爆発後も安全性が保たれていることを強調したが,著しく説得力を 欠く説明であった。

◎福島第1原発事故の経過


【2011年】
 3月11日 東日本大震災発生。東京電力福島第1原発に津波襲来、冷却機能失う
   12日 1号機原子炉建屋で水素爆発。避難指示を20キロ圏に拡大
   14日 3号機原子炉建屋で水素爆発
   15日 4号機原子炉建屋が水素爆発。20〜30キロ圏に屋内退避指示
   17日 自衛隊ヘリが3号機燃料プールに海水投下、地上から放水開始
 4月 2日 2号機取水口付近から高濃度汚染水が海に流出
    4日 高濃度汚染水の貯蔵先確保のため、「低レベル」汚染水を海に放出
   12日 原子力安全・保安院、事故評価をチェルノブイリに並ぶ「レベル7」に
   22日 政府が20キロ圏内を警戒区域に設定。原則立ち入り禁止に
 5月12日 東電、1号機原子炉の水位が大幅に低いと発表。メルトダウン認める
 6月17日 高濃度汚染水処理システムが本格運転
10月28日 1号機原子炉建屋カバー完成
11月 2日 2号機格納容器内で放射性キセノン検出。東電は翌日、再臨界を否定
12月16日 政府・東電が「冷温停止状態」と発表。「事故収束」を宣言

【2012年】
 1月31日 福島県川内村が原発周辺の自治体で初めて「帰村宣言」
 2月28日 民間事故調が「官邸介入で混乱」とする報告書
 3月12日 1〜3号機圧力容器などへの窒素注入が停止。4月まで相次ぐ
 4月 5日 推定12トンの汚染水が流出。配管劣化などで漏えい頻発
 6月20日 東電社内事故調が「津波想定の甘さが原因」とする報告書
   28日 事実上の国有化による新体制発足
 7月 5日 国会事故調が「原発事故は人災」とする報告書
   18日 4号機プールから未使用燃料を試験的に取り出し
   21日 下請け企業による線量計鉛カバー装着問題が発覚
   22日 政府事故調が「安全神話への固執が原因」とする最終報告書
 8月 6日 事故直後のテレビ会議映像を公開
   10日 4号機格納容器ふた撤去
   30日 1〜3号機で注水量減少トラブル。9月半ばまで続く
 9月19日 原子力規制委員会が発足
   22日 3号機燃料プールで撤去中のがれき鉄骨が落下

【2013年】
 2月 7日 国会事故調の1号機建屋調査要請で東電の虚偽説明発覚


    <除染費用>最大5兆円かかる  産総研試算


 独立行政法人・産業技術総合研究所によると、東電の除染負担が5兆1300億円にもなると試算されている。これは「原子力損害の賠償に関する法律 (原賠法)」で一時的にはカバーされるが、最終的には東電が将来の収入から払わなくてはいけない。つまり、消費者に電気代の値上げという形で跳ね返ってく る、というワケである。

 東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質の除染について、産業技術総合研究所の研究グループは2013年7月23日、福島県内だけで最大約5兆円かかるとの試算を公表した。政府は2011〜13年度、除染経費として1兆1500億円を計上しているが、これを大きく上回ることになる。

 同研究所は、文部科学省が11〜12年に福島県の上空で計測した放射線量や、既に実施されている除染作業の手法ごとの単価、市町村の担当者への聞き取りなどを基に必要経費を算出した。

 事故による年間の被ばく線量を1ミリシーベルト未満まで引き下げる場合、
・国が直接除染を行う「除染特別地域」で最大2兆300億円
・それ以外の地域で最大3兆1000億円−−−−の計5兆1300億円
  かかるとしている。

 内訳は、
・除染作業に2兆6800億円
・除染で生じた汚染土壌などの中間貯蔵(30年間)に1兆2300億円,仮置き場での保管に8900億円−−など。
  最終処分にかかる費用は計上しておらず、さらに膨らむとの見解を示している。



◆止まらぬ汚染水漏れ−
 
 福島第一原発で現在、最優先されているのが、メルトダウン(炉心溶融)した核燃料と使用済み燃料プールの冷却継続だ。そのうち、溶融燃料については再臨界を防ぐために、壊れた原子炉内に冷却用の水を注水し続けなければならない。その際に、地下水と混じり合って発生するのが大量の放射能汚染水である。
 東電では汚染水をタービン建屋の地下からポンプでくみ上げたうえで、専用設備で放射性セシウムや塩分を除去。それでもストロンチウムかど60種類以上の放射性物質を取り除くことができないまま、鋼鉄製タンクなどに貯留し続けている。

 こうして原発内で発生する汚染水は毎日、約400トンのペースで増え続けている。ストロンチウムなど62種類の放射性物質を取り除く新設備が本稼働した場合、汚染水のリスクは大きく低減するが,ベータ線核種のトリチウムだけは現在の技術では取り除くことができない。そこで東電は、タンクに水をため続けるリスクを軽減するために、トリチウムを含む水を希釈したうえや将来、海に放出する可能性を否定していない。
 だが,現実には漁業関係者の反対が強い海洋放出は困難である。そこで行き場のなくなった放射能汚染水は,原発敷地内にをため続けざるをえない。そうした中で再び大地震が発生した場合、タンクが倒壊する危険性も皆無とは言えない。
 原子力施設の重大事故は住民の生活を破壊するとともに、環境を台なしにする。それとともに二次災害の危険が付きまとう。福島第1原発の事故はその恐ろしさをまざまざと示した。


    汚染水問題


 7月で原発事故発生から2年4カ月が過ぎたが,事故は収束していない。東京電力が2013年7月22日、福島第1原発の敷地から海へ今も汚染水が漏出し続けていることをようやく認めた。汚染源と確実視されるのは、タービン建屋から地下に縦横無尽に延びるトレンチである。

 最初に既設井戸から高濃度汚染水が見つかったのは2013年6月3日。海側の井戸で高濃度の放射性物質の検出が明らかになって以降、原子力規制委員会などが海洋拡散への疑念を示していた。 原子力規制委員会は今年7月、「海洋拡散が強く疑われる」と指摘。田中俊一委員長は「海洋汚染は大なり小なり続いている」と述べ、建屋から地中へ漏れた汚染水が地下水と混ざり、海側へ流れている可能性を示唆していた。
 だが、東電は原因として、「事故直後の2011年4月に2号機取水口付近で汚染水が漏れた際、一部が地中に残留していた。環境への有意な影響は見られない」との見解を示していた。

 汚染水は、破損した建屋に地下水が流入することで1日400トンずつ増え続け、7月16日現在、1〜4号機の建屋には約7万5000トンたまっている。東電は増加対策として汚染前の地下水を海に放出して、建屋への地下水の流入量を減らすことを計画した。しかし地下水から微量の放射性物質が検出され、水産資源への風評被害を懸念する地元漁協の理解を得られず計画は頓挫。海への流出を認めることで、さらに漁協の信頼を失った。


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 −汚染水 打開策なく −福島第一 海抜2.5メートル以下漏出恐れ 規制委 地下汚染水で指摘

 東電は「海への拡散は限定的」としきりに強調するが、福島第一の専用港内の海水データをみると、ストロンチウムなどの汚染は、ほぼ全ての場所で法令で放出が認められる濃度限度を超えた。取水口近くでは十倍以上の濃度。湾内は除染や覆土などの対策を講じても、かなりの汚染度である。

 原子力規制委員会事務局は2013年7月29日の専門家会合で、東京電力福島第一原発で高濃度汚染水が海に漏れる危険性の高い場所とされる地下のトレンチ(トンネル)下の砕石層に関し、海抜2.5メートル以下の部分は地下水が達しており、漏出の危険性がより高いと指摘した。

 トレンチは、海水をくみ上げる配管やポンプを制御するケーブルなどが収められている。事務局が原発の断面図と地下水の実測値などを比較検討したところ、地中の浅い位置にあるトレンチでも、多くは設置の際に下部に敷かれた砕石層が地下水に浸っており、汚染が拡大するルートになる可能性が高いことが分かった。深いトレンチは地下水に浸っている状況という。

 規制委は、地下水や専用港内の海水の分析結果から、海の汚染は続いていると判断。トレンチの砕石層に薬剤(水ガラス)を注入して漏出を防ぐことや、汚染を監視する井戸などを増やすよう東電に求めた。

 2号機のトレンチでは、採取した水から一リットル当たり計23億5000万ベクレルの放射性セシウムを検出。2011年4月に海へ流出した高濃度汚染水が残っているとみられる。別のトレンチでも、タービン建屋地下にたまる高濃度汚染水と同じとみられる汚染水の存在が確認されている。

 規制委は、地下水や地層の専門家らでワーキンググループをつくり、汚染水問題に取り組むという。しかし、再度の海洋汚染が確定的になってから。対応の遅れは否めない。


       出典:東京新聞電子版 2013/07/30


    汚染水対策−政府の取り組み


●政府が責任を持って取り組むと表明
 安倍総理大臣は,9月8日のIOC総会での最後のプレゼンテーションで、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題について「状況はコントロールされており、全く問題はない」と述べるとともに抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調し、理解を求めた。

 この中で安倍総理大臣は福島第一原発の汚染水問題に懸念が出ていることについて「状況はコントロールされており、東京に決してダメージは与えない」と述べた。安倍総理大臣はこの後の質疑でさらに詳しい説明を求められたのに対し、「汚染水による影響は、福島第一原発の港湾内の0.3平方キロメールの範囲内で完全にブロックされている。福島の近海で行っているモニタリングの数値は最大でもWHO=世界保健機関の飲料水の水質ガイドラインの500分の1である。また、日本の食品や水の安全基準は世界で最も厳しいが、被ばく量は日本のどの地域でもその100分の1である。健康問題については今までも現在も将来も全く問題ない」と述べました。
 そのうえで、安倍総理大臣は汚染水対策について「抜本解決に向けたプログラムを私が責任を持って決定し、すでに着手している。責任を完全に果たしていく」と述べ、抜本的な解決に向けて政府が責任を持って対策を進めていると強調し、理解を求めた。

 菅官房長官は9月8日のNHK日曜討論で、2020年夏のオリンピックとパラリンピックの東京開催が決まったIOC=国際オリンピック委員会の総会で、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題の対策や現状のデータを説明したことで、冷静な判断が得られたという認識を示した。

 しかし、福島の漁業関係者や識者らからは「あきれた」「違和感がある」と批判や疑問の声が上がった。「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」とも安倍首相は説明した。だが、政府は1日300トンの汚染水が海に染み出していると試算。地上タンクからの漏えいでは、排水溝を通じて外洋(港湾外)に流れ出た可能性が高いとみられる。

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●福島第1原発、首相が視察 汚染水の現状確認
 安倍晋三首相は2013/9/19、東京電力福島第1原子力発電所を訪れ、汚染水問題の現状を視察した。汚染水が漏れた貯蔵タンクや、放射性物質を除去する多核種除去設備(ALPS)などを確認。政府全体で解決に全力を挙げる姿勢を訴えた。

 首相の福島第1原発訪問は昨年12月以来2回目。首相は2020年東京五輪の招致プレゼンテーションで、汚染水問題については,「状況はコントロールされている」と明言し,解決が国際公約となった。視察は海外メディアにも公開し,国内外の不安を払拭する考えである。
 


    放射性ヨウ素


 東京電力が2013年7月19日に発表した調査結果によると,東京電力福島第一原発事故で放射性ヨウ素を体内に取り込んだことによる甲状腺被曝線量が100ミリシーベルトを超える作業員は、推計で1973人に上ることが明らかになった。国立がん研究センターなどの資料によると, 100〜200ミリシーベルトの被曝をすると、がん発生の相対リスクが1.08倍となる。緊急時作業員の被曝限度である250ミリシーベルトを含む200〜500ミリシーベルトの放射線量になると、相対リスクは1.16倍と高まる。


   福島原発の廃炉,汚染除去に百年 英科学誌の見解


 英科学誌ネイチャーは,東京電力福島第1原発の廃炉や周辺の土地の汚染対策が終わるまでには,今後数十年,場合によっては100年を要するとの専門家の見解をまとめた記事(電子版)を発表している。

 記事は,1979年に米国で発生したスリーマイルアイランド(TMI)原発事故処理に加わった複数の専門家の見解に基づく。それによると,損傷しているとみられる燃料を含めた炉内の放射性物質の除去に長期間を要するとともに,原子炉の冷却が進んで中の状況を調べられるようになるまでも長時間を要すると指摘している。

 沸騰水型原子炉の特徴として,多数の配管や弁などが複雑に配置されていること,使用済み燃料を運び出すためのクレーンなどが爆発で破損していることなどによって,福島第1原発の廃炉は「TMIよりはるかに困難な作業になる」との意見を併記している。福島原発は, スリーマイルアイランドよりもはるかに大量の汚染水の処理が必要になることからも,86年に原子炉が爆発し,最終的な対策の除染の終了が2065年までかかるとされている旧ソ連の「チェルノブイリ原発と同様の除染対策が必要になるだろう」との見解を示している。

Published online 11 April 2011 Nature 472, 146-147 (2011) ⇒⇒  Fukushima set for epic clean-up  http://www.nature.com/news/2011/110411/full/472146a.html


 福島第1原発事故 「レベル7」国際原子力事故評価尺度 


◆原子力安全への信頼の失墜

 福島第1(福島県大熊町,双葉町)原発の原子力緊急事態宣言は,世の中に“絶対”はない,ということを再認識させる出来事である。福島第1原子力発電所第1原発と同第2原発が東日本巨大地震で被災,原子炉を守る格納容器内の圧力を制御できなくなるという事態が起きた。
 福島第1原子力発電所には13台の非常用発電機があった。12台が海水をかぶって壊れた。運よく冠水を免れていたとしても,電機を冷やす海水をくみ上げるポンプが津波で流されていたので,発電機はすぐに過熱し動かせなかっただろう。 第1原発1号機は1号機では12日午後,炉心溶融による水素爆発が発生,日本の原発史上最悪の原子力事故となった。
                                                                        東電は爆発の18時間前には炉心溶融の兆候をつかんでいたと見られるが,結果として対応が遅れ,爆発による放射性物質の放出という最悪の事態を招いた。
  今回の震災では,強い衝撃にも耐え,最高基準の耐震安全性を誇る非常用発電機の故障。「止める」「冷やす」「閉じ込める」という原子力施設の安全三原則は崩れた。炉心溶融は,炉心の水位が低下,燃料が露出し,冷却されない燃料の一部が1200度以上に達して,燃料の被覆管が溶けたことによる。

 地震の震源域には,東北電力女川原発(宮城県牡鹿郡女川町および石巻市),福島第1,第2(福島県双葉郡富岡町および楢葉町),日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)と四つの原発がある。そのうち,東北電力女川原発は震源地一番近かった。地震で四発電所の原子炉は停止し,揺れに対して対応できた。その後の津波に対しても女川や福島第2,東海村は耐えたが,福島第1原発は多重防護システムに弱点から事故となった。


◆事故評価、最悪の「レベル7」国際原子力事故評価尺度
 福島第1原発事故は,その深刻度の評価が4月12日,国際原子力事故評価尺度(INES)で最も深刻な事故に当たる「レベル7」に引き上げられた。「国際原子力事故評価尺度(INES)」とは,原子力施設事故の深刻度を示す尺度。原発などの事故について、施設内外への影響などの観点から評価し、軽微なレベル0から深刻な事故のレベル7までの8段階に分けている。レベル7は、数万テラベクレル以上の放射性物質の外部放出を伴う事故。

 ⇒平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況速報
 動画 You Tube 福島第一原発放水作業(3月18日)

  

   

 



 

 地震で原発がクラッシュしたときの放射能汚染をレポートした2006年の本です。時代が、この本に追いついてしまったのかもしれません。
 最低限の備えを、消費者の安全を守るために設立された「NPO法人・食品と暮らしの安全基金」が責任をもって記しております。
2006年発刊の『浜岡原発の危険 住民の訴え』を復刊。東海地震の震源域に位置する浜岡原発。周辺住民が、被ばく労働、原発利権の実態を告発。京都大学原子炉実験所・小出裕章氏が原発の危険性を指摘する 住民投票を求める27万人の署名をホゴにして工事が再開された静岡空港。迫りくる東海地震と被害予測すら不可能な原発震災。今、深刻な財政破綻に直面する静岡県政の真実が明らかになる  この一冊があなたの生命と財産を守る!
NY9・11テロを予見した話題の書の文庫化。自然災害から犯罪まで、日常に潜むオールクライシスに対処するマニュアルを完全網羅。この一冊があなたの生命と財産をすべての危機から守る!



 

   原発が地域に及ぼした光と影

 
 東京電力福島第1原子力発電所で事故を起こした1〜4号機が立地する福島県大熊(おおくま)町。現在,町全域が立ち入りが制限される警戒区域に指定された。町役場は約100キロ離れた会津若松市に移転し,約1万1500人の住民は全国各地で避難生活を送る。

 町には励ましの言葉に交じり,「今までいい思いをした罰(ばち)があたったんじゃないか」「恩恵を独り占めしていただろ」,といっ誹謗(ひぼう)・中傷も寄せられたという。

 事実,原発が町に「恩恵」をもたらしたことは否定できない。町の年間予算規模は70億〜80億円だが,その6割以上を原発関連に依存している。このため,2009(平成21)年度決算では,収入に占める人件費など必要経費の割合を示す経常収支比率は68.3%である。全国平均が90%を超え,自由に資金を使えない自治体が多い中で,68.3%の大熊町は財政的に豊かな町であった。

 財政の余裕は,中学3年までの医療費の無料化や住宅団地の整備などに回された。また,雇用面でも就労可能人口の3割以上が東電やその協力会社に籍を置いた。取引関係や商店,その家族まで含めれば,大半が原発に頼る原発城下町であった。

 町の人口は,1号機が営業運転が稼働する前年の1970(昭和45)年当時と比較すると1・5倍に増加。若い世代にも「住みたい町」として支持されていた。

 大熊町では,原発ができる前は,もほそぼそと農業をやっていただけで,秋の収穫が終わると,東京方面に出稼ぎに行くしかなかった町だであった。福島は太平洋側から,浜通り,中通り,会津地方の3地域に分けられる。会津は江戸時代からの城下町で観光都市として,中通りは県庁所在地の福島市や,郡山市を抱え,行政・商業都市として発展してきたが,浜通りは,これといった産業はなかった。
 1957(昭和32)年に衆院議員から知事に転身した佐藤善一郎(ぜんいちろう)らは「均衡ある発展」を唱え,浜通りで数カ所の原発候補地を選定。本命とされたのが,大熊町周辺だった。それに呼応するように,1961(昭和36)年秋には大熊町と北側に隣接する双葉(ふたば)町の町議会がそれぞれ原発誘致を議決。町は県や東電に誘致を陳情した。


 東京五輪を翌年に控えた1961(昭和38)年夏,東京電力は福島原発建設に向けて国鉄(当時)常磐線大野駅前に,仮事務所を開設した。320万平方メートルの原発用地の買収は東電と県開発公社がそれぞれ分担。漁業補償交渉も進められたが,地元では「原発はたいへんな発展をする要素だ」という意識が強く,反対はなかったという。

 1971(昭和46)年3月に原発1号機が営業運転を始めた。農閑期に出稼ぎに行っていた男たちは,町に進出してきた原発関連企業で職を得ることができ,レストランや喫茶店,バーなどの飲食店の開店が相次ぎ,住民は何らかのかたちで原発とかかわることになった。

▼住民の独白・・・
 いつ帰れるかわからない。こんなことで町を追い出されるんだったら,50年前のままの生活でもよかった・・・・。




 

   現在日本で稼働中の原発

 

   現在日本で稼働中の原発の型式は沸騰水型,沸騰水型および加圧水型と多様である。そして,多くは福島原発同様に,1970〜80年代に建設されている。そ のすべてが,海岸に立地する。日本の原発で発生した熱を海水で取り除き,それを海に放出している。この冷却の仕組みが,今回の巨大津波に大きなダメージを 受けた。
 また,日本の原子力発電所は,福島原発の6基の原子炉にみられるように,同じ場所に何基もの原子炉が併設されている。従ってそのうちの一基が制御不能に陥ると,併設されている他基を巻き込み被害は広がる。最悪の場合,他基を含めて廃炉せざるをえない。

▼福島原発の納入企業
 沸騰水型原子炉は日立と東芝がGEから技術導入したものである。福島第一原発は,
1号機 GE社(蒸気系,電気系は東芝)
2号機 GE社・東芝
3号機 東芝
4号機 日立
5号機 東芝
6号機 GE社・東芝
 である。

日本の原子力産業の現状
 これまで,日本は世界の原発・エネルギー産業をリードしてきた。韓国の追い上げもあるが,世界的にみて原発技術の最先端にあるのが,日立,東芝,三菱重工の3社と言われていた。
  特に,東芝は原子力分野を中核事業の一つに位置づけ,2006年に約4800億円を投じて米原子力プラント大手のウエスティングハウス(WH)を買収,地 球温暖化対策や新興国のエネルギー需要急増を背景に半導体と原子力を中核事業に位置づけ,2015年迄に39基の原発受注を狙っていた。


 

   想定外の事故とのいい訳


  いま日本の発電電力量量の3割(2006年度経済産業省調べ)は原発に頼っている。まさに原発が日本社会を支えてきたのである。これが,東京電力や管首相らが「1000年に一度の想定外」とする大津波,さらに経済性との見合いで採用された危機管理基準に翻弄され,シッペ返しを受けた。

 これまで東京電力は, 「何があっても多重防護で大丈夫」としてきた。東京電力福島第一原子力発電所の原発事故に関して,東京電力と政府は,「想定をはるかに超えた事故だ」と発表したことで,非難の集中砲火を浴びている。原子力発電は危険極まりないものでさるのだから,当然,自然の怖さを知り,最悪の事態を想定して建設しなければならないはずである。

 「人知を超えたものが起こった時にどうするかという発想が足りなかったのではないか。想定外だから仕方ないという話ではない」。人知を超えた事態を「想定外」とするのは,無責任である。
 ちなみに,1923年9月の関東大震災のマグニチュードは7.9,1994年10月の北海道東方沖地震のマグニチュードは8.2〜8.3, 2001年6月のペルー南部地震のマグニチュード8.3〜8.4,2004年12月のインドネシア北西部(スマトラ北部)地震のマグニチュード9.1〜9.3,2010年2月のチリ中部地震のマグニチュードは8.7〜8.8である。 



 産業技術総合研究所と広島大学などの研究グループは,東海,東南海,南海の3地震が連動して起きた宝永地震(1707年)の400〜600年前にも,太平洋沖の南海トラフ沿いで巨大な津波をもたらす同規模の地震が起きていた可能性があることを突き止めめ,2011年4月に千葉市で開催の日本地球惑星科学連合大会で発表した。

▼貞観津波再来を想定を…産総研,09年に見直し迫っていた 


 東日本大震災で大津波が直撃した東京電力福島第1原発(福島県)をめぐり,2009年の審議会で,平安時代の869年に起きた貞観(じょうがん)津波(マグニチュード 8.3〜8.6)の痕跡を調査した研究者が,同原発を大津波が襲う危険性を指摘していた。

 これに対し,東電側は「十分な情報がない」として地震想定の引き上げに難色を示し,設計上は耐震性に余裕があると主張。津波想定は先送りされ,地震想定も変更されなかったという。この時点で非常用電源など設備を改修していれば原発事故は防げた可能性があり,東電の主張を是認した国の姿勢も厳しく問われるところである。

貞観地震

  貞観(じょうがん)地震は,平安時代の869年(貞観11年)に東北地方太平洋岸で起きた推定マグニチュード8.4程度の大地震。901年に編さんされた史書「日本三代実録」の記述によると,現在の宮城県多賀城市付近で城などが倒壊,津波により1000人が水死したとある。海の砂など津波堆積物の分布調査などから,同県石巻市から福島県中部沿岸では当時の海岸線から1.5キロ程度まで津波が及んだとみられる。

 869年の貞観津波が痕跡を残した堆積層が見つかったのは,宮城県石巻市から福島県浪江町にかけて。海岸線から内陸3〜4キロまで浸水していたことが分かった。貞観津波の450年前に大津波が起きたことも判明。貞観津波クラスが,450〜800年間隔で起きていた可能性がある。産総研活断層・地震研究センターの岡村行信センター長は,同原発の想定津波の見直しを迫ったが聞き入れられなかったという。
 
 産業技術総合研究所は,宮城,福島県の沿岸の地層をボーリング調査で解析し,869(貞観11)年に東北地方を襲った巨大地震・津波の実態を解明し,観地震の規模はマグニチュード(M)8.3より大きい」と推定。ボーリング調査では,東北地方は500〜1千年の間隔で,繰り返し巨大津波に襲われていることも判明したことから,,「いつ,再来してもおかしくない」と警鐘を鳴らしていた。貞観地震の津波が運んだ砂の層の分布から津波の到達域を特定。太平洋沖を震源とする巨大海溝型地震が,大規模な津波を起こしたことを突き止めていたのである。岩手県や茨城県ではボーリング調査による津波堆積物の特定が難しく,海水は砂層よりも内陸まで到達していたはずだ。 直近の巨大津波は,室町時代(14〜16世紀ごろ)であったことから,「いつ起きてもおかしくない状態にある」と結論づけていた。
  だが,自治体の防災担当者は「そんな長い間隔の地震は,対策を練っても仕方がない」と,鈍い反応だったという。
                         source:産経新聞2011年3月29日,読売新聞2011年3月30日

貞観地震の1100年前はどんな時代? 動乱に揺れた平安貴族
 東日本大震災と類似するとされる869年の貞観(じょうがん)地震・津波(貞観11年)。この大地震は平安京(現・京都)を舞台に都会的な貴族文化を享受していた人々の安全意識を一掃した。さらに政治面でも藤原氏中心の摂関制が確立されるなど貞観(859〜877年)期は波乱の時代だった。
 この時代は空海、最澄らが中国から持ち帰った仏教文化が花開き「弘仁・貞観文化」と呼ばれる。中国の文学などを学ぶ紀伝道、漢詩集の編さん、曼荼羅(まんだら)といった密教文化、豊満で神秘的な仏像などが特徴。仏教への帰依による安心感から「安全神話」も広がっていたという。


貞観期に富士山・阿蘇山が噴火


 
貞観(じょうがん)地震の起きる6年前の貞観5年に越中越後(富山・新潟)地震。同6年には富士山が噴火し溶岩が流れ出て青木ケ原樹海の原型ができた。同10年には播磨(兵庫県)で地震。京都での体感地震も20回を超えた。
 同11年には貞観地震後に肥後(熊本県)・大和(奈良県)で地震が起きているという。この時期には阿蘇山、鳥海山、開聞岳の噴火のほかたびたびの疫病も記録されている。貞観3年には現在の福岡県直方市に「直方隕石(いんせき)」が落ちた。世界で最も古い落下記録のある隕石だ。


◇ 貞観期(859〜877年)
3年「直方隕石」が落下
6年 富士山爆発
9年 阿蘇山噴火
11年 播磨・山城地震
11年 貞観地震・津波
13年 鳥海山噴火
16年 開聞岳噴火


▼宝永地震(1707年)

  

 産業技術総合研究所と広島大学などの研究グループは,東海,東南海,南海の3地震が連動して起きた宝永地震(1707年)の400〜600年前にも,太平洋沖の南海トラフ沿いで巨大な津波をもたらす同規模の地震が起きていた可能性があることを突き止めた。
 和歌山県串本町の海岸に散らばっている大きさの岩を調べたところ,通常は下面に付着するカキやヤッコカンザシなどの化石が岩の上面で見つかった。これを津波が押し寄せて岩がひっくり返り,岩の下面が上を向き,付着していたカキなどが化石化したと分析した。

 化石の年代測定をしたところ,1120〜1340年ころと1650年以降に集中していた。1650年以降と測定された化石は,伊豆から九州にわたる広い範囲で大きな被害をもたらした宝永地震の津波でできたとみている。産総研などは,化石の分析結果から「南海トラフ沿いでは400〜600年の間隔で(宝永クラスの)巨大地震が起きている」としている。

 南海トラフは駿河湾から四国南方にかけての海底にある水深4千メートル級の深い溝(トラフ)。紀伊半島や四国など西日本が乗るユーラシアプレートと,南から押し寄せるフィリピン海プレートとの境界線にあたる。

 南海トラフの北寄りの領域では2つのプレートが押し合うため,大規模な地震が繰り返し発生してきた。東海,東南海,南海の3地震の震源域としても想定されている。


 

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地震で上下水道が破壊されて、トイレに苦労しました。避難所は汚物、嘔吐まみれ。悪臭でひどい。男性なら夜中に外でこっそり、、 という事もできなくないけど女性はまず無理です。公園や街のトイレもあふれる糞便、、。お風呂の水で流そうったってそんなにスムーズに流れないし、回数も 限界だし水は腐敗してタンクがカビと悪臭でとにかく不衛生。ただ、用を足すだけなのにこんなに苦労してつらいとは思いませんでした。備えて困る事はありま せん。


 


 ヨーロッパでは,スウェーデンに引き続き,2000年6月にドイツが原子力発電から全面撤退することで,政府と電力業界の合意が成立した。アメリカにおいては表立った発表はないものの,新設が途絶えて久しく,老朽化した原子炉は経済原則にしたがって廃炉への道をたどっている。「原子力発電大国」を自他ともに認めてきたフランスも,1999年12月に稼動し始めたシボォ原子力発電所2号炉を最後に,建設中および計画中の原子力発電炉はなくなった。ここでも原子炉は,やがて順次廃炉への運命が待っている。
 原子力発電が先進各国で黄昏を迎えているなか,先進七力国中では唯一,日本だけが原子力発電を推進中であることは目をひく現象である。
 日本で原子力発電を推進しなければならない理由として,エネルギー安全保障の確保が声だかに叫ばれていたことがあった。第一次石油ショックの経験は,この理由づけをきわめて強固にしたといえる。しかし,エネルギー資源の主力である石油が入ってこない,絶対的に不足するという強迫観念は,その後,天然ガスの輸入が増えたことと,それを利用する発電の割合が増えてきたことで色あせてくる。それとともに躍り出てきた理由が,地球温暖化対策としての二酸化炭素の抑制である。

         出典:「さようなら原発 水素エネルギーこんにちは」 山本寛著 東洋経済新報社



時事通信 東日本大震災
http://www.jiji.com/jc/eqa





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