専門雑誌 掲載原稿・記事のアウトライン

宣伝会議 2005年04月15日号  宣伝会議刊
これを読めばエリアマーケティングの全貌がわかる−−抜粋

「マーケティング」の定義に関しては,諸説さまざまですが,突きつめれば,「売れて儲かるるしくみづくりとその実行」に関する一連の活動といえます。ちなみにセールスはマーケティングの下位概念であり,販売活動を意味します。

「エリアマーケティング」は,日本生まれの発想です。その主旨は全国同一,あるいは全店一律といった画一的な売り方でなく,「郷には入れば郷に従え」で,それぞれの土地柄や地域格差といった地域の特徴を見極め,地域単位での「売れて儲かるしくみ」を創り上げていくことにあります。

 エリアマーケティングの進め方・着眼点−3つのポイント
1 「小さく,狭く」考える
 ウォルマートの創業者サム・ウォルトンは,「企業が大きくなればなるほど,偉大なことを成し遂げようとすればするほど,小さな単位で考えて判断し,即座に改善行動をとることがカギだ」と語っています。市場を「小さく,狭く」見て,その細やかな変化に目を凝らし,各エリアの特性に対応したビジネスプランを組み立てるというエリアマーケティングの考え方は,サム・ウォルトンが実践した,「小さく考える」にもつながるものです。

2 「地域開発」には,特に目を凝らす
 

 地域開発は,新たな事業機会を生むとともに,市場拡大につながる大きな要因です。経済停滞期とはいっても,鉄道延長・新線開通,空港・港湾・道路整備,宅地開発,地域再開発など,地域開発事業は,全国各地で計画・実施されています。また,工場の移転あるいは進出,大学や病院の新設,バイパス道路開通といった小規模の地域開発事業は,全国各地に見られます。
 地域密着を旨とするエリアマーケティング活動においては,現在行われている地域開発はもとより,国が策定しているおおむね5〜10年先を見通しての「全国総合計画」や地方自治体が自前で策定している「○○県(地域)総合計画」,あるいは地域課題の解決に向けての個別事業にも目を凝らしていくことを怠ってはなりません。

3 マネジメントとマーケティングの一体化を図る

 いくらマーケティングのアイデアと実行力に優れても,それを統制する強力なマネジメント体制と財務の安定が確立していなければ,業績向上はおぼつかないものとなります。
 "コンビニ御三家"とも称されるローソンは三菱商事,ファミリーマートは伊藤忠商事と,それぞれ商社の傘下入りし,脆弱化した経営体質の建て直しに懸命です。対してセブン-イレブンの,分厚い内部留保と潤沢なキャッシュフローに裏付けられた財務力は,盤石です。そして,「変化への対応」を一貫して唱える鈴木敏文会長の強力なリーダシップのもとで,全国を14ゾーンに区分し,各店舗ごとのデータに目配りし,顧客ニーズへの対応を図る」といった,究極のエリアマーケティングともいえるマーケティングを実践しています。

本誌購入は,「宣伝会議」定価700円 TEL 03-3475-3030まで

ビジス 2003年11月号   ソフトバンクパブリッシング刊 
 独走企業はここだ (要旨抜粋)

「いま,増収増益基調にある」からといって,必ずしも将来性に富む優良企業とは言い切れない。近時ではユニクロ(ファーストリテイリング),実用品や家電のディスカウントストア,90年代にさかのぼると紳士服チェーンやホームセンターなど,超優良企業と評され,急成長を遂げた企業が急速に業績を悪化させた事例は,枚挙を問わない。
 その共通点は,
@新店開発のいきずまりに加え,既存店の売り上げ不振が重なり,急速に業績の悪化を招く,A急成長なあまりマネジメント体制が追いつけず,経営の混乱に陥る,B強力なライバルや新業の出現により店の魅力を失い急速な顧客離れ,といった3点があげられる。
 こうした小売業の失速原因をふまえ,今回リストアップされている企業のうち,衣食住の生活必需品を取り扱う小売業について,好調要因と将来性を探る。



既存店の売り上げが順調に伸びている

好調小売業に共通する要因の一つに,既存店の堅調な売り上げ維持にある。ユニクロ失速の直接原因は,「前年比30%減ともいわれる既存店の売り上げ不振」にあった。新店開発は,出店場所という物理面,資金面,さらに人材面でいつかは壁にぶつかる。したがって,小売業経営では,既存店の業績維持が重要課題である。
たとえば,実用衣料チェーンのしまむら(本社:埼玉市・店舗数728)は,長期にわたり既存店は,ほぼ前年実績並の売上高をあげている。116社リストでは,セブン-イレブンを筆頭にスーパーのおおぜき,ヤオコー,イズミ,平和堂,家電のヤマダ電機,ホームセンターのコメリ,紳士服のはるやま商事の既存店の売上は,おおむね前年同月比±数%以内と安定した売り上げを推移している。



コア・コンピタンスを生かしてのオンリー1の追求

 市場の縮小期においては,価格競争のような消耗戦は,賢明な策とは言えない。優良企業の共通要因の2つ目は,コア・コンピタンス――顧客ニーズに適応し,かつ,ライバルを数段上回る自店の強みや他社にないノウハウ―――を生かし,かけがえのない店として顧客の支持を得ている点にある。
 消費者ニーズに敏感に対応するセブン-イレブンのマーチャンダイジング,ブックオフ(ハードオフコーポレーション)の古本の買い入れ・販売システム,キャンドゥの「これが100円か」とびっくりする全商品100円均一商法,「安さ」「面白さ」「品揃えの豊富さ」というコンセプトに加え, 「深夜営業ディスカウントストア」という独自の業態をあみだしたドン・キホーテ,作業服と作業専門用品の専門店チェーンの全国展開を目論むワークマンなど,ライバルに簡単にまねされないノウハウや独自技術を生かしての「独創性」が,コア・コンピタンスの追求である。
これはまた,店舗規模や売上高といった"地域ナンバー1"という量の追求ではなく,「地域になくてはならないかけがえのない店」としての"地域オンリー1",すなわち質の追求にある。成長著しいドラッグストア業態においては,成長企業との評価の高いサンドラッグは,「放っておいても人が集まる場所なら,誰が店を出しても繁盛する」とし,住宅密集地から一歩はずれた郊外立地にこだわり,こうした独自性の追求が,同業他社をリードする原動力ともなっている。
 スーパー売上高1位のイオン(ジャスコ)や世界ナンバーワンの売り上げ規模のウォルマートと業務提携した西友が,米国型の本部集権の店舗運営,エブリーロープライス(毎日が安売り)を打ち出し,安売り攻勢をかけているが,特売セールになれた日本の消費者の反応は鈍い。
 対して東京都内に出店するオオゼキやスーパー売上高第2位のイトーヨーカ堂は,「顧客第一主義に徹する」とし,個店重視の品揃え,安売り路線とは一線を画して,特定日に通常価格を下回る価格を設定しセールをおこなうという,日本流商法に徹し,成果を上げている。また,埼玉県を中心に,関東一円に店舗展開するスーパーのヤオコーは,「楽しい食卓」が演出できる店づくり,「楽しい買い物」ができる店づくりをキャッチフレーズに,脱安売りの質の追求を指向している。


ドラッグストア各社の真の実力は未知数

 2002年の商業統計(経済産業省調査)によるとスーパー,百貨店といった旧業態の低迷を尻目にドラッグストアが34.4%増の1万5千店舗,と高い伸びを示した。これは,消費者各自がドラッグストアで買える大衆薬を使い,自身の健康管理に取り組むというセルフメディケーション(自己治療)時代に適合した業態であることを示すものである。116社リストにもカワチ薬品,クラフト,スギ薬局,ツルハ,サンドラッグの5社がリストアップされている。ただし,ドラッグストアは,各店とも似たような店舗,品揃えやであることから常態的な価格競争に加え,出店過多の状況にある。
各社とも成長著しいが,急成長ゆえに財務基盤,経営組織,さらに企業力の源泉となる人材面などで盤石とは言い難い。したがって,この5社が真の優良企業か否かは,早計には断定できない。業績の推移や財務の健全性に加え,人材育成や組織体制いったマネジメントの整備・拡充を注意深く見守ていく必要がある。
 

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