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 ケーススタディ しまむら(編集中)

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「がんばらない」経営 不況下でも増収増益を続けるケーズデンキ
  「しまむら」は,「ユニクロ」のイケイケドンドンの快進撃の陰に隠れ,いささか地味な存在であるが,終始一貫して「小商圏」「地域集中出店」を貫いてきた。小商圏なら地域密着で深耕しやすい。だが,当然のことながら狭い商圏では,購買人口は限られ売上はたかが知れる。しまむらの標準的な商圏設定規模は5000世帯である。この競合店が成立しないほどの小さな商圏で同社は「身の丈経営」を貫き,持続的発展を維持している。
 また,“身の丈経営”を貫く姿勢は,物流力にもみられは,3.11東日本大震災で底力を発揮し,関係者から賞賛を受けている。



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ユニクロ」とは,ひと味ちがう「しまむら」−

 衣料品販売業のしまむら(さいたま市 http://www.shimamura.gr.jp/shimamura/)は全国に約1200店舗(11年2月現在)を展開する売上高国内第2位(437,001百万円(2011.2.20現在),世界第8位の衣料品チェーンである。
 同社は紳士用品,キッズ・ベビー用品,雑貨類も扱っているが,主力は婦人衣料で売上げが全体の3割を占める。近年,ティーン向け商品にも力を入れている。 カジュアル衣料「ユニクロ」を愛用する「ユニクラー」に続いて,全身「しまむら」でコーディネートする「しまラー」が若い女性の間で広がっているという。
 中にはコートからスカート,ブーツ,カバンまでしまむらで固めている人もおり,「しまラー」と呼ばれている。

ライバルが容易にまねできないビジネスモデルで業績を伸ばす


 婦人向けを中心とする衣料専門店チェーン「しまむら」の店舗運営システムの特徴として,@圧倒的な小商圏で成立し,他社に真似できない店舗運営システムの確立。A物流の善し悪しは店舗の運営と業績大きな影響を与えるとし,まず物流センターを自社で建設してから地域集中出店するという,自前物流によるバックアップがあげられる。
 この手法は,全国展開のホームセンター「コメリ」(本社   )とも共通するものである。 同社のHP(店舗と商圏)で次のように公表している。その内容を,下記に全文転載する。
▼ドミナント開発
 ドミナント出店はチェーンストアにとって運営管理、物流などの効率化と高度化の基本原則です。しまむらは人口10万人当たり1店舗の出店を目指しており、こうすることで知名度の向上と運営の効率化が一気に進んで業績が目覚しく向上します。

▼適正規模と快適性
 お客様の買いやすさは店舗、売場へのアクセスのしやすさと、商品の選びやすさです。私たちはデイリーファッションの店舗としては売場の広さを 1000uと1300uが最適規模と考えています。一時はとにかく大きい店舗をという風潮が世界中に蔓延しましたが、しまむらは全てに適正を追求する考えから、規模と店舗グレードの向上に対応しています。

立地開発−−小商圏で高寡占
  日本の平均世帯あたりのデイリーファションの購買額は、総理府の統計によると5000〜7000世帯の商圏での購買力は約10億円となります。しまむらはその商圏購買力の1/3以上の占有率を占める3.3億円の売上が1店舗の基本です。
▼適正立地と用地開発
 店舗業績を左右する立地の開発を、多くの小売業では不動産業者に任せているため、適正を欠いているものが多く見られます。私たちしまむらでは、店舗の適正立地と用地の基準をマニュアルに規定し、商圏調査から始まって、地主との交渉、契約に至るまでしまむらの開発部で行っており、これも業界で高い注目を集めています。

物流技術−− 独自の物流システムの開発
 数百店舗に商品を供給するチェーンストアにとって、物流の善し悪しは運営と業績 に重大な影響を与えます。それでも日本では独自の物流システムを築いて運営している企業が少ないのが現実です。しまむらは僅か6店舗の時代から物流システ ムの構築を始め、現在は全国8ヶ所の商品センターを稼動して、全国自社物流網へと進化しています。

◆スピードを追求する最新鋭物流センター
 独自の設計思想による超効率化されたセンターでは自動化を徹底し、1日の処理量 が成田空港の手荷物とほぼ同量の桶川センターでさえ、20名の定時社員と3名の管理者で運営されています。また、全国を自在に移動する荷物は1個当たりハ ガキ1枚程度という低コストを実現しています。

しまむらのエリアマーケティング−店舗戦略

1 店舗戦略

 しまむらの店舗戦略の要諦は,地域集中出店と小商圏対応にあります。この点に関して同社は経営戦略について,HP(店舗と商圏)で次のように示しています。(全文転載)

1) ドミナント開発(地域集中出店)
 ドミナント出店はチェーンストアにとって運営管理、物流などの効率化と高度化の基本原則です。しまむらは人口10万人当たり1店舗の出店を目指しており、こうすることで知名度の向上と運営の効率化が一気に進んで業績が目覚しく向上します。

2) 適正規模と快適性(小商圏対応)
 お客様の買いやすさは店舗、売場へのアクセスのしやすさと、商品の選びやすさです。私たちはデイリーファッションの店舗としては売場の広さを 1000uと1300uが最適規模と考えています。一時はとにかく大きい店舗をという風潮が世界中に蔓延しましたが、しまむらは全てに適正を追求する考えから、規模と店舗グレードの向上に対応しています。

2 立地開発  

1) 小商圏で高寡占

 日本の平均世帯あたりのデイリーファションの購買額は、総理府の統計によると5000〜7000世帯の商圏での購買力は約10億円となります。しまむらはその商圏購買力の1/3以上の占有率を占める3.3億円の売上が1店舗の基本です。

2) 適正立地と用地開発
 店舗業績を左右する立地の開発を、多くの小売業では不動産業者に任せているため、適正を欠いているものが多く見られます。私たちしまむらでは、店舗の適正立地と用地の基準をマニュアルに規定し、商圏調査から始まって、地主との交渉、契約に至るまでしまむらの開発部で行っており、これも業界で高い注目を集めています。
3)エリアマーケティング・立地戦略−−小商圏で高寡占
 日本の平均世帯あたりのデイリーファションの購買額は、総理府の統計によると5000〜7000世帯の商圏での購買力は約10億円となります。しまむらはその商圏購買力の1/3以上の占有率を占める3.3億円の売上が1店舗の基本です。

◆ケーススタディ−小商圏・地域集中出店の事例−調布市仙川町で2店舗体勢に

 しまむらは、調布市仙川町で2010年10月出店の「しまむら島忠ホームズ仙川店」(売り場面積 908平方メートル 島忠ホームズ仙川SC内)と,2011年6月16日に出店の「ファッションセンターしまむら仙川店」(いなげや調布仙川SC」内)の2店が立地しています。

 「しまむら仙川店」と「しまむら島忠ホームズ仙川店」の店舗間距離は約1qという至近距離にあります。近い店間距離にもかかわらず、仙川町で2店舗態勢をとった事を,常識的にとらえれば,
@先に出店した「しまむら島忠ホームズ店」の売上が順調に推移している
A仙川町では店間距離が約1qであっても,2店舗の採算がとれる十分な商圏人口が見込めると,シミュレーションしたものと推察されます。この見方は,「しまむら」に関しては,適切とは言えません。その理由は,同社のビジネスモデルにあります。



 

▼しまむらの地域集中出店戦略の狙い−− 
 しまむらは、地域集中出店を全社的な視点でとらえています。その目的は,

@競合に打ち勝つこと
Aそのエリアへの競合の参入を阻止すること
 の2点にあります。また,しまむらは,フランチャイズ制をとらず,直営店での出店を基本としています。そして本部集中型のチェーンオペレーションであることから,フランチャイズチェーンのように,個店別の採算性追求ではなく,エリア単位で採算がとれれば,経営的には何ら問題がないのです。
 こうした観点から,調布市仙川町における2店舗体勢を分析すると,前述とは違った見方ができます。それは,
@2店舗態勢で,地域の潜在購買力を掘り起し,新たな需要を喚起する
A2店舗態勢で,ライバル店の参入を阻止する
B2店舗態勢の相乗効果(シナジー)で商圏内のライバル店の勢力を削ぐ


 上述の事例が示すように,小商圏・店舗の小型化が小売業界の趨勢である。しまむら(さいたま市 http://www.shimamura.gr.jp/shimamura/)は,終始一貫して「小商圏」「地域集中出店」を貫いてきた。

 小商圏なら地域密着で深耕しやすい。だが,当然のことながら狭い商圏では,購買人口は限られ売上はたかが知れる。しまむらの標準的な商圏設定規模は5000世帯である。この競合店が成立しないほどの小さな商圏で同社は「身の丈経営」を貫き,持続的発展を維持している。


▼しまむらの地域集中出店戦略の狙い−− 

 しまむらは、地域集中出店を全社的な視点でとらえています。その目的は,

@競合に打ち勝つこと
Aそのエリアへの競合の参入を阻止すること
 の2点にあります。また,しまむらは,フランチャイズ制をとらず,直営店での出店を基本としています。そして本部集中型のチェーンオペレーションであることから,フランチャイズチェーンのように,個店別の採算性追求ではなく,エリア単位で採算がとれれば,経営的には何ら問題がないのです。

 こうした観点から,調布市仙川町における2店舗体勢を分析すると,前述とは違った見方ができます。それは,
@2店舗態勢で,地域の潜在購買力を掘り起し,新たな需要を喚起する
A2店舗態勢で,ライバル店の参入を阻止する
B2店舗態勢の相乗効果(シナジー)で商圏内のライバル店の勢力を削ぐ

 小売各社は,高齢者層の増加,人口の都心回帰や単身世帯の増加という時代背景のもと,小商圏対応の小型店出店に政策転換している。

 家電量販最大手のヤマダ電機は,売り場面積600〜1500平方メートルと、既存の主力店の半分以下の人口20万に以下の小商圏への出店に軸足を移した。。
 セブン&アイ・ホールディングスは,郊外型大型店の業績低迷の対策として,都心型小型食品スーパーの出店を打ち出している。
 イオンは,06年から首都圏の住宅街などでコンビニとほぼ同規模の小型食品スーパー「まいばすけっと」を展開、現在は事業を148店(今年8月末)に広げている。
 
 総合スーパーのベイシア(前橋市)は,主力の大型店に比べて売り場面積は3分の1程度で,商品を食料品に限定。人口が集積している小さい商圏に単独出店することで,地方の中心都市でのシェア拡大を目指す。将来は店舗数(現在98店)の約1割が中型スーパーになるようにする。


 上述の事例が示すように,小商圏・店舗の小型化が小売業界の趨勢である。しまむら(さいたま市 は,終始一貫して「小商圏」「地域集中出店」を貫いてきた。
 小商圏なら地域密着で深耕しやすい。だが,当然のことながら狭い商圏では,購買人口は限られ売上はたかが知れる。しまむらの標準的な商圏設定規模は5000世帯である。この競合店が成立しないほどの小さな商圏で同社は「身の丈経営」を貫き,持続的発展を維持している。
 その,しまむらは,東日本大震災の被災地である岩手県,宮城県,福島県,茨城県の4県に各1億円ずつの義援金を支援団体などを介さずに直接県へ渡したという。同社は「被災を受けられた各県では,地域の方々に大変お世話になってきた。今の状況を踏まえ,直接支援させて頂きたい」とコメントした。
 この,「被災を受けられた各県では,地域の方々に大変お世話になってきた。・・・」との言葉に,同社快進撃の要因が凝結されている。

▼金だけではない,思いやりの心での支援

 しまむらは,3月11日に発生した東日本大震災によって大きな被害を受けた北関東地区,特に宮城県や福島県の沿岸部には「ファッションセンターしまむら」などの店舗を多数展開している。3月15日に発表のプレスリリースによると,全業態国内1,647店舗のうち365店舗と全体の25%の店舗が津波により店舗自体の流失や地震による天井の落下,フロントガラスの破損などの被害を受けた。

 その,しまむらが,東日本大震災の被災地である岩手県,宮城県,福島県,茨城県の4県に各1億円ずつの義援金を支援団体などを介さずに直接県へ渡したという。同社広報は「被災を受けられた各県では,地域の方々に大変お世話になってきた。今の状況を踏まえ,直接支援させて頂きたい」とコメントしている。
 さらに被災地で求められている肌着を中心にトレーナーやジャージ,靴下等を随時手配し,3月24日までに被災地に送られた衣料品は25万点以上にのぼる。

 ここで注目される点は,同社の物流力の凄みである。単に多量の衣料品を届けたというのではなく,受け取る側の手間に配慮し,自社の物流力を活用して,できるだけ,小分けにして中身を明示して届けているのである。                                   

◆しまむらの物流力

 同社は,3月16日に緊急車両としての通行許可を得て,東北自動車道で商品を運び始めた。燃料もトラックも契約している運送会社が,しまむら向けに問題なく確保できた。 普段から同社は多店舗化に取り組むと同時に,物流体制作りに力を注いできた。特に,物流拠点である「商品センタ−」では柔軟な店舗間移動システムを作り上げてきた。今回の震災では,このシステムが役立った。

                                                  

◇「小売業は地域に育ててもらうものだ」という考え 

 しまむらは,東日本大震災の被災地である岩手県,宮城県,福島県,茨城県の4県に各1億円ずつの義援金を支援団体などを介さずに直接県へ渡したという。同社は「被災を受けられた各県では,地域の方々に大変お世話になってきた。今の状況を踏まえ,直接支援させて頂きたい」とコメントした。
 この,「被災を受けられた各県では,地域の方々に大変お世話になってきた。・・・」との言葉に,同社のエリアマーケティング戦略が凝結されている。
 この点に関しては,『無印良品を復活させたしまむら商法』(梛野順三著 なぎの・じゅんぞう著 ぱる出版)のp35〜p37で明解に解説されている。その要点を抜き書きして紹介する。
 しまむらの品ぞろえの特徴は,地域特性への配慮にある。ある地域では、農作業に適した「もんぺ」を売っていたり、夏には「麦わら帽子」がちゃんと置いてある。花見の春には酒やつまみ以外の必要グッズがあるし、秋の運動会シーズンもまたしかりだ。当然、豪雪地帯には、それなりの必要衣料を必ず売っている。 だから、しまむらは嫌いという客も多い。洗練されたセンスを求める人々は、まずしまむらには行かない。しかし、好きな顧客は、リピーターとして何度も足を運ぶ。
 いつも店に来てくれる顧客が必要とする商品を用意しておくのが商いというものだ。
店は客のためにあり、小売業は地域のお客に育ててもらうものだという考えが、「もんぺ」に表れている。

 この「小売業は地域のお客に育ててもらうものだ」という気持ちの表れが,「被災を受けられた各県では,地域の方々に大変お世話になってきた。今の状況を踏まえ,直接支援させて頂きたい」とし,東日本大震災の被災地である岩手県,宮城県,福島県,茨城県の4県に各1億円ずつの義援金を支援団体などを介さずに直接県へ渡したことに如実に表れているのである。



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▼しまむらグループの会社概要(http://www.shimamura.gr.jp/

 「しまむら」は, かつては郊外立地で低価格にこだわった商売をしていた。だが,「安かろう・悪かろう」を是としなくなった消費者ニーズの変化を読み取り、2001年頃からはファッショントレンドを重視した商品政策に転向した。

・商号 株式会社しまむら   SHIMAMURA Co.,Ltd
・設立 1953年(昭和28年)
・事業内容 総合衣料品の販売
・本社 埼玉県さいたま市北区宮原町2-19-4

資 本 金: 17,086百万円
決 算 期: 2月20日
売 上 高: 437,001百万円(2011.2.20現在)
従 業 員: 14,597名(2011.2.20現在)

▼店 舗 数
 しまむら: 1,200店舗(2011.2.20現在)
 アベイル: 244店舗(2011.2.20現在)
 バースデイ: 121店舗(2011.2.20現在)
 シャンブル: 69店舗(2011.2.20現在)
 ディバロ: 13店舗(2011.2.20現在)

YouTube ⇒⇒  Yui Ibuki しまむらソング 伊吹唯

▼ファッションセンターしまむらの都道府県別衣料品購買高シェア

 被災地である,4県の「ファッションセンターしまむら」の売上シェアは全国平均5.1%に対して

  岩手 11.3%
 宮城 8.6%
 福島 12.6%(シェアでは日本全国トップ)
 茨城 9.0%
  《source:第 57 期 決 算 概 要  http://www.shimamura.gr.jp/finance/file/2010040101.pdf 》









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 ケーススタディ

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