ブログ 「流通のいま」:  日経文庫−ビジュアル 流通の基本 (日経文庫)      

新取引制度 

  90年代以降,長年定着してきたメーカー希望価格制度・リベート制度・特約店制度などの流通制度が崩壊しはじめ,オープンプライス制度が主流になってきている。 加工食品業界では味の素などが早くからオープン価格制度を導入しており,ビール業界ではキリン,アサヒが導入している。

 

日本的商慣行とその崩壊 

 

 日本固有の商慣行としては,「建値」,「返品」,「委託取引」「リベート」,「協賛金」「派遣店員」,「一店一帳合制」などがあげられます。これらは,総じて流通の合理化を阻む不透明な取引慣行だとして,改善・改革の方向にあります。

 日本の流通は,伝統的にメーカーが卸売業から小売業までを統制する「タテ型流通」と呼ばれる垂直統合の形態をとってきました。そのだ標的な統制手段として,建値制,リベート制度があげられます。この他にも,売れ残った商品を無条件での「返品制」,売れた分だけの仕入代金を支払うとした「委託販売制度」。さらにメーカーや問屋が小売店に自らの費用で店員を送り込み,自社商品の拡販にあたる「派遣店員制度」,同一メーカーの商品は,一つの卸からは仕入れられない一店一帳合制、小売業の販促セールなどの催事・新店開店・店舗改装などに賛同して資金提供する協賛金制度など,日本独特の商慣行があります。
こうした商慣行は「複雑で閉鎖的」「不明確なコスト構造」と,その弊害が指摘されてきました。そして,1989年の日米構造協議で生配販もたれあいだと,その閉鎖性や不透明さへの批判もあって,91年に「流通・取引慣行に関する独禁法上の指針」(流通・取引慣行ガイドラインでは,)が発表されました。ここでは,消費者保護,そして市場の開放性・透明性を確保すべく,商取引慣行の健全性確保を強く打ち出しました。さらに,価格破壊とによるオープン価格制への移行もあって,生配販もたれあいの構図は,なし崩し的に崩壊しつつあります。