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ケーススタディ  南日本新聞 夕刊休刊にみる時代対応(編集中)

LAST UPDATE:Sunday, April 19, 2009

2  現状分析−マスコミ不況      (編集中)

 マスコミを代表する新聞,テレビ業界の構造不況は,中央にとどまらず地方にも押し寄せている。マスコミ各社は生き残りを懸け,業界再編そして連携,あるいは規模の縮小といった動きが加速している。

  鹿児島県を地盤とし,発行部数37万5千部の南日本新聞は2月末で夕刊を休止した。県内の世帯普及率5割に達する有力紙の夕刊撤退は業界に与えた衝撃は大きい。南日本新聞の夕刊廃刊(休刊)は,同社が理由にあげる「原材料費の高騰に加えて購読数の減少,広告収入の減少」が,問題の根源ではない。問題の本質は,<ライフスタイルの変化,メディアの多様化>に象徴される時代変化にある。

  南日本新聞社もこうした情報を伝える手段の多角化を認識し,<新聞という「紙」による事業を経営の中核に据えながらも,,ホームページの充実やデータベース事業,電子メールサービス,全国新聞ネットなどの分野にも積極的に取り組んでいる。

 なお,地方紙の2006年6月と2008年6月の販売部数の増減比較によれば販売部数減少のベスト3が宮崎日日新聞(-5.81%),南日本新聞(-5.09%),熊本日日新聞(-4.45%)と宮崎県,鹿児島県,熊本県の南九州エリアの3県の地方紙である。

2−1 新聞離れの進展


 インターネットや携帯電話の普及による情報収集手段の多様化,さらには「新聞離れ」が顕著化している。NHKの2005年 国民生活時間調査報告書(2006.02.20)PDF)でもこの傾向が読み取れる。新聞の国民全体の行為者率は平日、土曜、日曜とも45%前後,全員半均時間は平日,土曜、日曜とも20分強である。男女年齢別にみると,男60代以上、女50・60代で行為者率が高い。また,職業別には,主婦や無職の行為者率が高い。
        
 男女別の行為者率をグラフ化してみると,この10年間で男30〜50代でえの落ち込みが大きいことがわかる。10年前にすでに行為者率が低かった男20代が,30代になても読者が増えなかったこと,10年前の男30・40代(2005年の男40・50代)で、この10年で新聞を読まなくなった人が大幅に増えたことが読み取れる。男子は95年と比べ半減している。(出典:2005年 国民生活時間調査報告書(2006.02.20)PDF) 詳しくはNHKサイト)





 新聞離れが進むことによって失うのは購読料だけでない。広告出稿も10年前の水準より2割ほど減少している。電通の調査によると,2007年の新聞広告費は,9,462億円(前年比94.8%)と推定されており,2年連続で1兆円を下回り,広告費の減少傾向は歯止めがきかなくなっている。
 大手新聞社は軒並み業績不振に苦しんでいる。10年前に約2000億円あった広告収入がほぼ半減した朝日新聞社ではタクシーチケットの撤廃や出張費,記者クラブ費などの取材費の一部カット,夜食の運用の見直しや社内行事の中止などで200億円のコスト削減を目標にしているといわれる。 



2−2  若者の「新聞離れ」は「ニュース離れ」ではない――米調査


  調査会社の米comScoreの2008年03月の「新聞読者のオンライン行動に関する調査報告」によると,「新聞発行部数の減少は,必ずしもニュース読者が減っていることは意味せず,むしろ逆である」としている。

 この調査では,回答者を,新聞(印刷媒体)を読む頻度で4つのグループに分けて比較したところ,新聞を「週6回以上読む」グループには高齢者が多く,「週に1度も読まない」グループには若者が多かった。
 各グループが利用するニュースサイトを「新聞社のサイト」「テレビ局のサイト」「ネットメディアのサイト」に分けると,「新聞を週に1度も読まない」人は,サイトの種類を問わずニュースサイトをよく利用しており,その利用度合いは「週に3〜5回新聞を読む」人や「週に1〜2回新聞を読む」人たちと比べ,全般的に高い。
 comScoreは「新聞を読まない人が,必ずしもニュースを利用しないわけではない」とし,こういう人たちはデジタルフォーマットを好んでいるだけだと分析している。
 対して,「新聞を週6回以上読む」グループは,テレビ局のニュースサイトやネットメディアのニュースサイトと比べ,新聞社のサイトを利用する傾向が高い。また,新聞社サイトの利用は,平均的な新聞読者よりも「新聞を週6回以上読む」人と「新聞を週に1度も読まない」人が多い。

 comScoreは,「新聞発行部数の減少は,必ずしもニュース読者が減っていることは意味せず,むしろ逆である」と分析している。新聞社にとっても「インターネットの普及は,ブランド認知度を高め,新しい読者層にリーチできる機会がある」とも提言している。


 関連HP 若者の「新聞離れ」は「ニュース離れ」ではない――米調査

              3ページ以降 4月26日 アップロード予定


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